湯涌石かち唄 (金沢市湯涌温泉地区) 踊り振付:徳田康子
1 かてどイナ どやせドイナ 入らぬ石じゃ サテ石じゃ(ハア ヨイショ)
下にイナ 黄金がイナ アリャ 有ると見た 有ると見た
(以下、やしことば、カタガナ部分を省略)
2 さても うれしや 石かち習うた 習うた
石の ど真ん中 見てたたけ 見てたたけ
3 恵比寿 大黒さんは 招いてござる ござる
ここの 館の 石をかつ 石をかつ
4 わたしゃ 湯涌の 山中育ち 育ち
住めば 都さ 湯の里よ 湯の里よ
5 さても うれしや この子が育つ 育つ
背戸に 黄金の 蔵が建つ 蔵が建つ
6 声を そろえて かけ声かけて かけて
腰の 調子で 石をかつ 石をかつ
7 昔 ならした 唄声響く 響く
老いも 若い衆も 皆踊る 皆踊る
8 ここの 館は めでたい館 館
鶴が 御門に 巣をかけた 巣をかけた
9 金の なる木は ないとはいえど いえど
辛抱 する気に 金がなる 金がなる
10 めでた めでた 百万石の まつり
山の お恵みで お酒盛り お酒盛り
11 わらちゃ やっこらさっと 石こもかつぎ かつぎ
こんの 館の 石をかつ 石をかつ
12 見ても 聞いても 名古屋の城は 城は
金の 鯱(しゃち)ほこが 雨ざらし 雨ざらし鯱
13 鳥も 通わぬ 奥山なれど なれど
住めば都だ わが里よ わが里よ
14 主と 私は 松葉の中で 中で
かれても おちても 二人連れ 二人連れ
◆金沢の山間を流れ、女川と呼ばれている浅野川の上流の麓に湯涌温泉がある。その北
側に戸室石で有名な戸室山があり、その懐に眠っていた作業唄があった。
藩政時代は金沢城の石垣に多くの戸室石を産出したところである。新築の際、地固めに河原や岩合いから集めた大小の石を「結」(ゆい)[奉仕の労働]のとき、下基礎造りに音頭取りして歌われていたようだ。約30年前これを受け継ぎ、踊りは後世への意思を同じくする舞踊家の振付けである。
この唄は、前田民謡会が金沢歌劇座の平成24年の民謡華絵巻で舞台発表し、平成25年、両国国技館で開催の日本民謡協会全国大会において発掘民謡紹介の舞台発表によってデビューしたのである。