ちょいとさ(輪島市門前町)                  採譜 上原英人

 

1 ちょいとさ唄って通るに(ハヨイヤサッサ)

何で出て逢わぬ(ハヨイヤサッサ)

うちが厳しゅうて籠の鳥ちょいとさっさ

(ハー厳しゅうて籠の鳥ちょいとさっさ)〔はやし方と唄手と一緒に唄う、以下同じ〕

2 籠の鳥でも理知(りつ)ある鳥は 籠を破りて逢いに出る

3 あんた樋竹(とよだけ) おら樋(とよ)の水 あんた行くとこおらも行く

4 おらとお前は仲さえ良けりゃ 人はへちまのだだぶくろ

5 高い山には限りはあれど おらはあんたとかぎりゃない

       (ドンセドントセ ドントイッテドントセ)

 

この唄は、輪島市門前町の海辺の村々に古くから唄われてきた軽快な踊りのリズムである。「ちょいとさ」は、豊漁を祈り、海上安全を祈りつつ、老若男女が踊りの中で生きる喜びを思いきり味わった。七七七五の調子で物語りには、関係なく誰でも踊りの輪の中から音頭を取り、はやしは全員が声を揃えて唱和する。漁火遠き浜辺に唄を呼び、踊りは熱を帯びて延々と踊り続けられる。この宴席でも盛んに唄われた。(合併30周年記念「門前町民謡集」から引用)
◆ちょいとさの曲名は、相当前までは、曲名があったようであるが、出だしの歌詞がいつのまにかこ
の曲名になったものとかんがえられる。
◆4の「人はへちまのだだぶくろ」は、「人はどうなってもよい」という意味。