釣部田んぼ染め(金沢市釣部町)

 

一 田んぼ染めでも 色さえ良けりゃ(アードウシタドウシタ)

    色に迷わぬ 人もない(アーソレカラドウシタ)

  (以下はやしことば 略)

二 声はすれども 姿は見えぬ

    姿草葉のキリギリス

三 田んぼ染めなら 赤芽で染めた

   しょうぶ田んぼに花が咲く

四 釣部谷間と いやがるけれど

    住めば釣部の良さもある

五 釣部田んぼに 黄金の穂なみ

味の良いのが おらの米

六 思うて通うたが 水かけられて

   わしが通うたが 水の泡

 

◆金沢市東部の金腐川沿いの夕日寺地区に釣部という集落がある。ここに藩政時代前から布を田んぼに浸して黒く染める技法が伝承されている。その技法は布とヤマウルシや麻などと一緒に煮込み、比較的鉄分の多いとされる釣部の田んぼに約一週間浸し、時間をかけて水洗いするときれいに黒く染め上がるのである。唄は染め上がって水洗いしながら唄ったといわれている。この技法は京都の黒染めより優れているといわれている。

  令和元年、釣部町では田んぼ染め技法とその唄の伝承のため、釣部田んぼ染め保存会を立ち上げた。夕日寺小学校は郷土学習の一環として4年生を対象に昔から伝わる田んぼ染めの体験を実施した。既存の唄は北都民謡会の平山俊春に補正を依頼、三味線採譜の取り組みなど1年がかりで完成・CD化した。