とどろ節(輪島市門前町)                     採譜:松嶋庄次

1 能登の門前 一度はおいで ここにゃ名所もハー寺もある

  (ここにゃ名所もハー寺もある ハーゼンザイゼンザイ)(以下繰り返し、はやしことば略)

2 めでためだたの 若松様よ ハー枝も栄えてハー葉も茂る

  (ハー枝も栄えて葉も茂る)

3 響く鐘の音 千歳にこめて 町の誇りをハー寺でもつ

4 能登の総持寺 筋交い橋を 死なぬ一期にハー渡りたや

5 夫婦鐘つく灯ともし頃に 長谷の深底の鐘が鳴る

6 座禅から 門前見れば 寺が高うて山低い

7 主は亀山 わしゃ鶴山と 晴れて添いたや並びたや

8 夏は堀端 揃いのゆかた 主の音頭で ハー手も軽く

9 稲は刈り頃 娘は見ごろ 清水田んぼは ハー秋日和

10      主とうれしや 観音祭り 逢うた紫雲の ハー上り降り

11      夢のお告げで 二人は逢うた カッコー林は せみしぐれ

 

   輪島市門前に名刹曹洞宗大本山「総持寺」がある。その昔、総持寺には五院輪番制という特色ある住職制度がしかれ、明治初期まで約500年間毎年1,600余の末寺から選ばれた輪番住職の交代の儀式がおこなわれた。このときに唄われたのが「とどろ節」といわれている。初めに太鼓をドドドドと打ったことからこの唄の題名があり、今も古老によって伝えられている。

     ハーゼンザイ ゼンザイ、とはやす壮厳、秀麗さを表している唄である。勅願所大本山総持寺(そうじじ)では、第二代峨山禅師の死後、貞治3年から明治3年まで約500年間、輪番制がしかれ、全国末寺(17,361寺)から5名が選ばれて住職に就任した。10月2日の交替期には、上番下番の僧呂や寺院関係者1,000人以上も集まり、門前(寺口)殷賑(いんしん)を極めた。職務(法務)受け渡しの法要が厳修された後、披露宴(おとぎ)の場となると、その席上でこの「とどろ節」が唄われたという。はやしの「ぜんざい」は仏語の善哉、よいかなの意で、諸願満足、円融円満の意が込められている。宗教的色彩の濃い本町独特の民謡である。唄の名称は、お堂で打ち鳴らす太鼓の響きを形容したものといわれている。とにかく音曲は、何となく人の心の奥深く浸みこんで清められるように、奥深さと気品をたたえ、喜びと安心のうちに、いかにも落ち着いた感じを与えてくれる。(合併30周年記念・門前町民謡集「ふる里のにおいを」から引用)