千代(ちよ)()(ぶし)(白山市)

1 もらい水だよナー 日照りでないがヨー

  つるべ取られた ヤレ朝顔に (テモヨイヨイ サテモヨー)

  [以下はやしことば、カタカナ部分 省略]

2 起きて見つまた 寝て見つまたも

  かやの広さが 気にかかる

3 色は付いたが まだ(しぶ)かろか

  柿に思案(しあん)の 初ちぎり

4 松任あんころ 自慢じゃないが

  天狗様から 出た秘伝

5 松任(まつとう) 松任と いつまで()とうか

  ただの一夜も 待てはせぬ

 

◆ 千代尼節は、今から約300年前の白山市(旧松任市)の俳人「加賀の千代女」が「朝顔やつるべとられてもらい水」をよんだゆかりの白山市松任地区を代表する民謡である。千代尼節は、昭和5年当時、地元辰巳町の民謡保存会の「辰睦会」によって町内の「真教寺」に披露され、俳人千代女のゆかり民謡として、その存在が一般に明らかになった。それ以来かって辰巳町が茶屋街であったことからお座敷踊り、あるいは地元の盆踊りに登場したりして伝承されてきた。
 
踊りのテンポが遅く、お座敷で舞う優美さもあり、「千代女」の俳句がいくつか織り込まれている。
 
平成18年、第46回全日本民踊指導者講習会で実技種目に採用され、熱海市でこの踊りを披露し「しっとりしたいい曲」と評価され、関係者の一段の普及・伝承の努力に熱意が込められてきた。
 唄のCDは、湯浅みつ子、踊りのビデオは、舞踊楽田中屋の登場で収録されている。
◆ 旧松任市は、石川県の南部に位置し、田園風景の広がる加賀平野の中心にあたり、日本海にも面している。昭和45年10月に松任市になり、平成17年には、周辺の町村との合併でさらに大きくなり、白山市となった。
 千代尼節は、昭和5年8月、松任市辰巳町の保存会の辰睦会により、同町内の真教寺にて初めて披露された。それ以来、かっての茶屋街であった辰巳町でお座敷踊りとして、また、地元の人たちにより盆踊り曲として伝承されてきた。特徴として、踊り方は、テンポもゆっくりしていて、お座敷で舞う優美さもある。また、歌詞は、「加賀の千代女」の俳句がいくつか織り込まれている。
 以上のことから白山市を代表する民踊として、現在は、地元の保存会や婦人部の人たちにより、舞台や盆踊りと盛んである。
 平成15年、千代女生誕300年を記念して、ゆかりの聖興寺にて記念の行事が行われた際にも踊られ、千代女を偲んだ。