珠姫(たまひめ)さん(金沢市) 作詞・曲:南部幸七 三味線譜:松嶋庄次
1 慶長四年は春弥生 花咲き始めしまろやけく 珠の如くや産の声きく
(光明末代小立野台地一切サイ)(以下はやしことば略)
2 珠よ珠よと抱き上げて 名付けし 祖父の家康公 千よ球よとたわむれなさる
3 乱世の代は姫あわれ 国と人とを契らせて 千姫西へ珠姫北へ
4 国の行方は定めなく 知る由も無く三歳児の 哀れ悲しや遠方加賀路へ
5 幾山坂や長の旅 三回り月や西回り 夕日籠の珠姫揺られ
6 迎えた人の優しさに 季節めぐりてつつがなく 北の都の国はやわらぐ
7 お珠愛しと四年経ち 利常公は十三歳 加賀は三代若き国継ぐ
8 天下分け目のその最中 珠姫様は十四歳 利常公と祝言なさる
9 十五の春もめでたけれ 亀鶴姫さまお生まれで 芳春院さまお戻りなさる
10 幸せ続きの歳月は 縁の公と睦まじく 授かるわが子三男五女
11 築山に来て久方の 語るは殿と行く夏を 国守る子等の行く末想う
12 短く咲いた命花 救いし国に遺る香は 今小立野に永遠に立つらむ
◆波乱含みの戦国時代、徳川家康の孫娘として宿命を負って生を受けた珠姫は、三歳にして加賀前田家と契りの縁を結び、加賀百万石を救った。十四歳の春に三代藩主、前田利常と婚姻となり、以後、加賀藩を影で支え、人々から慕われた。
今日、小立野台地の天徳院さんとして多くの人々が心を寄せて、年中線香の煙が絶えないといい、ここにその遺徳を讃え,口伝に綴り、小立野盆唄「珠姫さん」の唄と踊りに託した。
◆珠姫は、誕生から加賀藩に輿入れしてからも文献その他に珠姫様と敬われているが、珠姫を祀ってある金沢市小立野台地の天徳院の地元では、今日でも球姫さん・球姫さんと親しく呼んでいることから、題名は「球姫さん」となっている。