高砂踊り唄(輪島市門前町地区)                 採譜:上原英人

 

1 盆のお月様 まん丸こてまるてイナ(アヨイヨイ)

  丸てまんまるこてイヨ角がないネ

  (角がーないまんまるこて丸てイナ まるてまんまるこてイヨ 角がないネ)

  (以下はやしことば、繰り返し略)

2 竹になりたや紫竹の竹にイナ 末は殿御の 筆の軸

3 泣けや泣け泣け泣かれさえしたら 親の別れに 二度とない

4 向こう鉢巻き片肌脱いで ろづかつかめた ほどのよさ

 

   この唄は、輪島市門前町に伝承されている民謡である。高砂踊りには、「高砂音頭」と「高砂踊り唄」が一つの踊りに併用されている。音頭の方は、高砂、高坂、高さまなどといわれ、目連尊者の地獄巡りや、石童丸、熊谷直実、敦盛の史話等の物語がうたい上げられて、先祖の霊を慰めるお盆にふさわしい哀調が人々の心情をひきつけていく。

踊り唄には、七七七五の都々逸調で物語りに関係なく、歌詞一句一句に意味があり、はやしは本唄の尻を小刻みに逆上がって、あとで上から一気に唄い下りる美しい唄い方をする。高砂音頭の物語が途切れたり、下題が変るときなどに踊りを崩さぬために、この踊り唄をうたえば、なんら違和感もなく雰囲気も乱れずに踊り継がれていく不思議なうたである。またこの唄自身も立派な民謡として優れた価値が認められている。(合併30周年記念「門前町民謡集」から引用)