珠洲酒屋もと摺り唄(珠洲市)             採譜・編曲 加賀山昭

 

1 ハア宵にもと摺(す)りゃヨーイ 夜中にイナ (こしき)イナ(オイサーオイサノサー)

  ハア朝の洗い場のイナ水つらいナ(ハドッコイサノササッサコラサノサ)(以下はやしことば略)

2 ハア酒屋男に 何よて 迷うた ハアわずか百日の 辛抱だよ

3 ハア酒屋男に もろみが かかる ハア向かいの姉ちゃんに 気にかかる

4 ハアおらにくれるなら  姉おいて 妹 ハア妹器量良し 姿良い

5 ハア日なら百日 月なら三月(みつき)  ハア行かにゃなんやけ おとしべに

6 ハア酒は湧いたよ こなたの蔵  ハアさぞや御主人も うれしかろ

7 ハアとろりとろりと今摺(す)るもとは  ハア酒に造りて 江戸へ出す
  
  (きりりと回してしゃんにもしょうかい おっしゃかしゃんの しゃんとこい)

 

     昔から奥能登珠洲には、酒造りが盛んであったが、能登杜氏たちは、京阪・金沢・富山にも出稼ぎした。杜氏たちは、もと摺り(すり)作業のとき、この唄を唄った。この唄は、清酒造りで最も重要な「?」を造るときの作業うたである。

能登杜氏は、地元はもとより京阪や灘、富山にも出稼ぎに行き、旅先で唄った。富山市岩瀬地区にもこの唄と同じ唄が残っているが、それも珠洲市上戸町の杜氏が伝えたという。(加賀山昭編「全楽譜・北陸民謡集」から引用)