珠洲酒屋もと摺り唄(珠洲市) 採譜・編曲 加賀山昭
1 ハア宵にもと摺(す)りゃヨーイ 夜中にイナ 甑(こしき)イナ(オイサーオイサノサー)
ハア朝の洗い場のイナ水つらいナ(ハドッコイサノササッサコラサノサ)(以下はやしことば略)
2 ハア酒屋男に 何よて 迷うた ハアわずか百日の 辛抱だよ
3 ハア酒屋男に もろみが かかる ハア向かいの姉ちゃんに 気にかかる
4 ハアおらにくれるなら 姉おいて 妹 ハア妹器量良し 姿良い
5 ハア日なら百日 月なら三月(みつき) ハア行かにゃなんやけ おとしべに
6 ハア酒は湧いたよ こなたの蔵 ハアさぞや御主人も うれしかろ
7 ハアとろりとろりと今摺(す)るもとは ハア酒に造りて 江戸へ出す
(きりりと回してしゃんにもしょうかい おっしゃかしゃんの しゃんとこい)
◆ 昔から奥能登珠洲には、酒造りが盛んであったが、能登杜氏たちは、京阪・金沢・富山にも出稼ぎした。杜氏たちは、もと摺り(すり)作業のとき、この唄を唄った。この唄は、清酒造りで最も重要な「?」を造るときの作業うたである。
能登杜氏は、地元はもとより京阪や灘、富山にも出稼ぎに行き、旅先で唄った。富山市岩瀬地区にもこの唄と同じ唄が残っているが、それも珠洲市上戸町の杜氏が伝えたという。(加賀山昭編「全楽譜・北陸民謡集」から引用)