尾山の酒屋もと摺り唄(金沢市) 編曲:高山久参
1 イヤーアア宵にもと摺りゃナーアア
夜中にこしき 朝の夜明けにナーアア蒸(むし)をとるヨー
(ハアーヨイスレヨイスレ)(以下はやしことば、カタガナ部分略)
2 恵比寿大黒 七福神も 尾山の酒見りゃ 踊り出す
3 酒は飲むもの 飲まれちゃならぬ 飲んでよいのは 加賀の鶴
4 尾山の酒は 百万石の 米に花咲く 金の沢
5 酒屋若い衆は花ならつぼみ 今日も咲け咲け 明日も酒
6 酒屋男は あひるか鴨か 冬の最中に水の中
7 酒屋男に 迷うなよ娘子(おなこ) 花の三月ア 泣き別れ
8 春は兼六 秋なら卯辰 夏はほやねの町流し
9 世にも名高い 兼六園の ことじ燈篭は 水の中
10 宵にもと摺る 夜中にこしき 朝の夜明けに 蒸をとる
◆加賀百万石の藩政時代以前の金沢城は、「百姓の持ちたる国」の本拠地で「尾山御坊」といい、人々はその周辺(旧市内)も尾山といっていた。その頃から金沢には、酒造りが盛んで沢山の造り酒屋があった。男たちは11月から3月まで能登・加賀から働きに来た。米を蒸(む)し半切りという桶(底の浅い桶)の中に蒸した米を入れ、唄いながら摺(す)りつぶす作業に精を出したという。