桑島いそ節(白山市白峰地区)                 採譜 松嶋庄次

1 一里二里なら自転車で通う(ハヨイヤサーハットセ)

  十里二十里は自動車で通う  百里千里は どうせ流行(はやり)の飛行機で通う
(ハヨイヤサー ハットセ)

 (以下はやしことば略)

2 月にむら雲 花には嵐 主に浮気の癖さえなけりゃ

  わたしゃどんなに嬉しかろうと 目に持つ涙

3 雨は天から縦には降れど 風の吹きよ出横にも降るが

  わたしゃあなたに縦に振れども横には振らぬ

4 度胸定めて奥山住まい 恋もりんきも忘れていたが

  鹿の鳴く声 聞けば昔が恋してならぬ

5 三味になりたや芸者の三味に 膝に抱かれてさお握られて

  へその辺りをなぜりゃ ピンコロシャンと鳴る身じゃないか

6 写真片手につくづく眺め 顔や姿に変わりがないが

  もしや心に変わりないかと 目に持つ涙

 

◆白山市白峰地区桑島に(なべ)(ぶた)を持って滑稽な踊りが保存されている。この唄は、茨城県の新磯節とよく似ている。新磯節は、戦中戦後に全国に流行った唄であるもちろん石川県内の町や村にも流行った。宴席では欠かせない唄であった。白峰地区では、他の唄で鍋蓋をもって唄われてきたが、新磯節で鍋蓋踊りを踊るとぴったりだったようだ。以降、この唄で鍋蓋を持って踊りだすことなって定着した。新磯節が流行ってから半世紀、歌詞がほとんど変わってないが、はやし言葉が「サイショネ」から「ヨイヤサー、ハットネ」と変わっている。鍋蓋を持って踊ることから通称「桑島なべぶた踊り」ともいう。