こがちの唄(輪島市門前町)                    採譜:松嶋庄次

1 こがちの唄は なからなからにうとものじゃ

  うとものじゃなからなからにうとものじゃ(ハスッコンコン スッコンコン)

  (以下はやしことば略)

2 スッコンコンと鳴るはケヤキ臼ならよかろんね

3 唄わいでつけやいで 架けた橋なら渡らいでや

4 麦は色づく好きな殿御と刈りゃよいね

5 志津浦の里の麦は 豊年満作や

6この臼わしまいや 臼に神楽をあげてくれ

 

     輪島市門前町では、その昔、夏の炎天に汗まみれでの大麦の収穫はハシカイ仕事であった。ハサに架けた大麦を脚踏みの脱穀にかかる。浜や庭先に莚を広く敷き並べ、その上に大きな臼を裏返しに据え、底の所へ麦の束を打ちつけ、穂先の実を叩き落す。これを麦おとしとか麦*ぎといった。落とした麦粒まだ長いエガが付いているから、表がえしの臼の中に、このエガ麦を入れて2・3人が杵を臼のふちに打ち鳴らし調子をつけるとコン、コン、コンとリズミカルな音律をかもし出すのも暑い夏の風物詩であった。こがちの唄は、このリヅムに溶け合って辛い仕事に勢いを付けてくれたのである。(「合併30周年記念・門前町民謡集」から引用)