狩鹿野松づくし(かほく市)                   採譜 松嶋庄次

 

一本目には池の松 二本目には庭の松

三本目には下がり松 四本目には志賀の松 

五本目には五葉の松 六つ目には昔の高砂や 尾上の松や 曽根の松 

七本目には姫の松 八本目には浜の松

九つ 小松上並べ 十で豊久野伊勢の松

 

この松は賦与の松にて 情け有馬の松がえの

口説けばなびく 相生の松 またいついつもの約束で

千代松 とき松 暮れを待つ 連理の松に契りを込めて

福大黒や おめでたや

 

     時代は昭和に入って河北郡や口能登の村々では、豊作に感謝する秋祭りに獅子舞や青年団の手造りによる村芝居(演芸)が盛んに行われていた。かほく市狩鹿野の秋祭りでの村芝居は民謡踊りや芝居まで多彩な内容であった。このうち金沢から招いた師匠に習って踊った「松づくし」が好評を博した。唄の旋律に端唄があることから、この師匠が金沢で歌われていた端唄を編曲し、形造りしたものと考えられる。

定着したこの踊りは、近隣の村芝居にも招かれて出演するようになり、人気の的となった。更に、戦後村芝居が廃れたが子供会や青年団によって狩鹿野の伝統を引き継ぐ振り付けに改良が加えられ、踊りが確立し、今日まで狩鹿野の伝統芸能として受け継がれている。