金沢棟上祝唄(金沢市)

 一 エーエイヨ―オオーッ

  オーこなた若い衆 張り込んで頼む(ヨーイヨイ)

  ここが大事な主柱

  (ソリャエーニョーアアエーエンコーオノサーツサーオノエーニョー)

                    (以下はやし省略)

二 エーエイヨーオーッ

  オーこなた櫓はめでたいやぐら

鶴が櫓に巣をかける 

三 エーエイヨーオーッ

  オーこなた若い衆張り込んで頼む

  今日はめでたい棟上だ

 四 エーエイヨーオーッ

オーめでためでたの若松様よ

枝も栄えて葉も繁る 

◆ 民家や寺社の骨組み仕上げに当たる棟木を上げる際、大工の士気を鼓舞する労働唄である。金沢で藩政期から伝わるこの唄は、節と松のめでたさ、建物の長寿と繁栄の願いが込められている。二度にわたって消失した金沢城二の丸御殿造営の上棟式は、祭壇の四隅に青竹、酒や絹、大根、昆布、米俵などを飾り、さらに棟木を置く屋根にも弓矢、キジ、鯉などを供え、左官、瓦、畳職人等にも餅や酒を振舞い、唄を唄ったのが「上棟祝唄」である。
戦後、建築工事が機械化するにつれてほとんど唄われなくなったが、平成12年金沢城菱櫓・五十間長屋・橋爪門続櫓の上棟式に富瀬俊夫さんがこの唄を見事に披露した。これを北都民謡会が舞台にお披露目し、広めいくことになった。