金石じょんから(金沢市金石地区)
1ヤーここは九州の(アドッコイドッコイ) 赤間関の(アチョイト)よろづ小間物問屋の娘
(ヤッショイマカショ)
<カタカナことば、はやしことばは以下省略>
2年は十七 その名はお杉 いつのころやらお寺へ参詣
3参詣戻りに 和尚様見初め 見初め逢い初め声掛け初めて
4うちに帰りて 四五日たつと 奥に一間の机に向かい
5親の代から 三代までも 鹿の巻筆半紙がみに
6お杉や思うこと 山々書いて 書いて封して御状箱入れて
7文の使いは 子飼いの丁稚 みちでおとすな開いてみるな
8和尚様にと 確かに渡せ 和尚手に取り開いて見れば
9巻いて封して 御状箱入れて 文の使いは子飼いの丁稚
10見れば見るほど女の手なり ここは禅寺そんなことならぬ
11道で落とすな開いて見るな お杉様にと確かに渡せ
12お杉や手に取り開いて見れば 見れば見るほど我が書いた手なり
13さても残念な文戻された 文でおとさにゃ通うて落とす
14店の番頭さんの夏衣装借りて 上に着たのが紋付羽織
15下に着たのが経かたびらで 呂の羽織に三つ紋付で
16 しのび編み笠皮緒の雪駄 二尺五寸落としに差して
17前の小山に上がりてみれば 向こうに見えるは大阪の城よ
18下に見えるは遠照寺様よ 夜のことなら大門しまる
19夏のことなら雨戸はたたぬ お杉や巧者で裏門へ回り
20四十八枚唐紙開けて和尚和尚さんと二声三声
21和尚おどろきこりゃ何者よ 迷い者加代変化の者か
22迷いでもない変化でもない 文をよこしたお杉でござる
23お杉よく聞け大事なことよ和尚落とせば奈落へ沈む
24たとえ奈落へ沈もとままよ かけた念なら落とさにゃならぬ
25竹を見かけて雀が止まる 船を見かけて船頭さんがとまる
26和尚見かけてお杉がとまる 言われて和尚様
27けさや衣を打ちぬぎすてて 夜のことなら酒屋は寝たし
28前の小川で水さかずきで鯛の浜焼き小鮒の刺身
◆解説<じょんから考察参照>