加賀むぎや節(金沢市西地区) 歌詞・編曲:南部幸七 三味線譜:松嶋庄次
1 麦を刈らなきゃ 雀が騒ぐ (アアヨイショ)
刈ろ刈ろよとオオイナー アーアリャア畔蛙イナー
(畔刈ろよとオオイナー)
アーリャアア畔蛙イナー
2 背戸で米つく あの水車 (アアヨイショ)
誰を待つやらオオイナー アーアリャ来る来るとイナー
(来ると待つやらオオイナー)
アーアリャアア来る来るとイナー
3 麦をうつ手の 手豆の数は (アアヨイショ)
下手にうつ程オオイナー
アーアリャ増えていくイナー
(いくうつ程オオイナー)
アーアリャアア増えていくイナー
4 親は子を呼ぶ 子は親を呼ぶ (アアヨイショ)
孫は誰呼ぶオオイナー
アーアリャアア親を呼ぶいいなー
(呼ぶ誰呼ぶオオイナー)
アーアリャアア親を呼ぶイナー
◆その昔、能登輪島のそうめん屋では、原料の麦うち作業を歌いながら作業したというのが麦屋節である。輪島の漆職人が越中五箇山へ漆の買い付けしたとき、輪島の麦うち唄を唄って聞かせた。また、輪島のそうめん屋で働いていたお小夜は、金沢で遊女になり、当時遊行禁止を犯し、五箇山に流された。お小夜は、輪島で覚えた麦屋節を五箇山の村人にこの唄を聞かせた。これが今日五箇山に伝承されている麦屋節であるという。天保年間、金沢西地区の西念新保村・下安原村・南新保村の代表者たちが米の大凶作を理由に年貢の減免を申し出たことが加賀藩にとがめられ、五箇山に流刑、極刑を終えて生き残った数人が帰ったものの数年のうちに亡くなった。心のよりどころとして覚えた麦屋節がこの地区にわずかに残った。これが「加賀むぎや節」である。近年、古老によった口伝を掘り起し、昭和63年に復元したのである。
◆毎年7月、第3日曜日の夕方に金沢駅西近郊の5校下(地域)による「駅西夏まつり」(平成28年夏現在第30回)が開催されている。まつりは、長田校下の「長田権作音頭」、鞍月校下の「南無とせ節」、諸江校下の「住吉おどり」、西校下の「加賀むぎや節」、戸板校下の「戸板野じょんから」、さらに駅西に共通する「天保流れ節」の踊り曲が登場し、特設舞台では、参加する各校下が順番で音頭取りするが、参加の他校下住民もすべて踊りをマスターしていて、5校下参加住民が総踊りする地元色の濃い盆踊り大会である。