福浦もじり(志賀町)                   採譜・編曲:加賀山昭

 

1 弥栄(いやさか)弥栄(いやさか)サと 乗り出す船はサ(ヤントホレヤントエー)

  今朝も二艘出たナソレ 三艘出たぞエ(二艘出たナ 今朝もヨ)

  今朝も二艘出たナソレ 三艘出たぞエ

  (はやしことば・カタガナ部分・繰り返し略)

2 能登の福浦の腰巻地蔵は 今日も船出を また止めた

3 沖の鴎に 潮時 聞けば 私ゃ発つ鳥 波に聞け

4 福浦もじりを 船頭衆に着せて 今朝の船出に また惚れた

 

◆この唄は、能登福浦港の船頭衆が初めてもじりの袖の作業着を身につけたとき、その仕事のしやすさに喜び、出船の唄として唄われたと伝えられている。「もじり」とは、漁師が海の仕事や野良仕事に着る着物で外浦の冬の寒さに耐えるようにさし風に細かく縫って袖を短く仕事のでき易いものを男女が着たその着物を「もじり」といった。

今もなお、志賀町富来地区一円に「福浦もじり」または、「サバのさし」という題名で唄い踊られる。残念ながら福浦港に伝承者がいない。

この福浦港は、明治の末期までは、遊郭の町として栄えたところであり全国各地から芸者衆が出入りしたといい、北前船の風待ち港として栄え、日本最古といわれる木造り燈台の腰巻地蔵の話しが残っている。(加賀山昭編「全楽譜・北陸民謡集」から引用)