あゝ浅井(なわて)(小松市)          作詞:無城正芳 作曲:岸 泰二央

 

1 豊徳二氏の 波よせて ぬかるみ深き 浅井野に

  味方敵よと 争いし 前田と丹羽の 武士あわれ

2 火銃の縄の 火は消えて 戦い果てし 浅井野に

  秋の名月 清めたり 倒れし勇士 何思う

<謡>

さきがけて

槍を揃えし つわものの

槍を揃えし つわものの

名を残しけり 浅井畷に

3 白山連峰 見はるかす 松風渡る 浅井野に

  男の子九士の 碑は(つつし)む慶長五年 夢はるか

 

   小松城の東方に浅井という所に縄のような畦道(あぜみち)をした田んぼがあることから浅井畷(なわて)である。慶長5年(1600年)浅井畷の戦いである。大聖寺城(山口玄藩宗水城主=豊臣方)を落とし、金沢へ戻る途中の前田利長勢(2万5千の軍勢)を石田三成を味方した小松城主丹羽長重軍(3千)が迎え撃ち、激戦地となった。結局、戦いは勝敗がつかず双方の痛み分けの格好で終結した。
 
後に丹羽長重から和を請う使者が発せられ、利長はこれを受諾。人質の交換などを約して小松城に入った。
 現在9士の墓が藩士の倒れた方を向いて建っている。昭和61年、遠く戦国の世を偲び、群長 松本源裕の和歌を謡曲に謡い民謡の一節にした。(小松市「ふる里の民謡」第1集小松郷土民謡会編から引用)