あゝ天領太鼓(輪島市門前町地区) 作詞・曲:上原英人
(朗詠) 風雪厳しい 能登の国
1 三つ葉葵の御紋所 若宮神社の神前に
打ち振る撥は音もさえ 勇者の響きぞ あゝ天領太鼓
(朗詠) 暗雲低く嵐呼ぶ
2 怒涛逆巻く日本海 耳を劈く稲妻は
天を揺るがし岩を裂く 勇壮なるや あゝ天領太鼓
(朗詠) 紅(くれない)染めて陽は沈み
3 静寂(せいじゃく)迫る天領地 大海原(おおうなばら)の夜は更けて
ただ上弦の月青く 残るこだまかあゝ天領太鼓
◆ 輪島市門前町黒島では、毎年8月17日18日、海上安全、五穀豊穣、千寿万歳に叶と打ち鳴らす和太鼓や曳山を繰り出すなど、盛大に「天領まつり」が開催される。今日でも盛んに土地の人々によって伝承されている。
門前町黒島は、1684年に徳川幕府直轄の天領地となり、北前船が出入りし、正月になると漁民たちが庄屋に訪ね、今年もまたお世話になることをお願いして、太鼓を打ち鳴らしたのが天領太鼓の始まりと言われている。昭和53年、この時代の風情を偲んで創作された唄である。